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東北に深いつめ跡 中尊寺の建物破損
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ゆがんだ中尊寺本堂前の表門=岩手県平泉町

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 14日朝の岩手・宮城内陸地震で、震源地やその周辺以外の東北各地でも、死者や負傷者が発生し、土砂崩れや建物損壊などの被害が出た。各県の医療機関や警察、消防が職員を現地に派遣するなど、被災地支援に乗り出している。

<岩手>
 7月の世界遺産登録を目指す平泉町の中尊寺では、国指定重要文化財の釈尊院五輪塔が一部破損した。本堂前にある表門も激しい振動でゆがみ、材木で支えながら応急工事を行った。
 同町の毛越寺では、宝物館の仏像や石灯籠(どうろう)などが転倒したため臨時休館となった。
 県は、被災・避難住民への継続的な支援が必要として、被害が甚大な一関市への災害救助法の適用を決定。避難所の設置や、食料品と生活必需品の提供を行う。

<秋田>
 秋田市の女性(70)が自宅で転倒し左腕を骨折したほか、横手、湯沢両市などで計14人がけがをした。湯沢市皆瀬の林道では車5台、計5人が取り残されたが、いずれも自力で下山した。
 湯沢市と東成瀬村の国道397号、398号、342号のほか、栗駒山方面を通る県道五路線で、土砂崩れなどによる通行止めが続いている。
 北秋田市で15日開催する全国植樹祭出席のため、14日から天皇、皇后両陛下が秋田市入りしたが、寺田典城知事は両陛下の視察同行を一部キャンセルし、県庁で被害情報の収集に当たった。

<山形>
 新庄市の女性(60)が自宅敷地で転倒し、左肩に軽いけが。同市内の県立新庄病院ではエレベーター7機が一時停止、舟形町の西堀地区では約180戸が3時間にわたり断水した。
 宮城交通(仙台市)と山形交通(山形市)は、共同運行する高速バス仙台―山形線などを午前中いっぱい運休した。
 県立中央病院(山形市)、日本海総合病院(酒田市)など県内の四病院は、医師や看護師ら計19人を大崎市民病院に派遣。山形県警の広域緊急援助隊21人が宮城県の被災地に向かった。

<福島>
 いわき市で釣りをしていた同市勿来町の会社員男性(55)が海中に転落し死亡。福島市では2人が負傷した。いわき市泉町の堺化学工業小名浜事業所では、地震センサーの不具合で重油約3300リットルが流出した。事業所関係者が回収したため敷地外への漏出はなかった。
 県内の消防本部は、救助工作車や救急車など35台、隊員122人を奥州市に派遣。県立医大では、医師と看護師を1人ずつドクターヘリで大崎市民病院に向かわせた。

<青森>
 県警は災害警戒警備対策室を設置、情報収集に当たった。県警の航空隊員ら26人と、県内消防本部の計111人が岩手県の被災地に入った。

◎東北各地の震度

 震度6強=奥州衣川(岩手)栗原一迫(宮城)▽震度6弱=奥州胆沢(岩手)栗原、栗原築館、栗原高清水、栗原鶯沢、栗原金成、栗原志波姫、栗原花山、大崎、大崎鳴子、大崎古川北、大崎田尻(宮城)▽震度5強=北上二子、一関山目、金ケ崎、平泉、奥州、奥州江刺、奥州前沢(岩手)加美中新田、涌谷、栗原若柳、登米市役所、登米南方、美里北浦、美里木間塚、大崎松山、大崎岩出山、名取、仙台宮城野、仙台若林、利府(宮城)湯沢川連、東成瀬椿川、東成瀬田子内(秋田)▽震度5弱=北上、遠野宮守、一関、藤沢、西和賀川尻、奥州水沢佐倉河(岩手)加美小野田、色麻、栗原瀬峰、登米、大崎三本木、角田、岩沼、蔵王、大河原、川崎、仙台、石巻前谷地、大衡(宮城)横手、湯沢、羽後、美郷土崎、大仙(秋田)最上(山形)新地(福島)▽震度4=深浦、八戸南郷、五戸(青森)宮古、久慈大船渡、陸前高田、釜石、盛岡、二戸、八幡平田頭、花巻、遠野、一関大東(岩手)気仙沼、丸森町役場、石巻、塩釜、松島、七ケ浜(宮城)能代市役所、男鹿、秋田消防、大館市役所、横手雄物川、仙北角館(秋田)酒田、庄内、新庄天童、河北(山形)福島、郡山、白河東、鏡石、小名浜、相馬、猪苗代千代田(福島)▽震度3=青森、弘前、八戸(青森)葛巻(岩手)女川(宮城)能代、秋田(秋田)鶴岡、山形、米沢(山形)白河(福島)など▽震度2=大鰐、六ケ所、むつ(青森)久慈山形(岩手)小坂砂森(秋田)鶴岡温海(山形)会津若松(福島)など▽震度1=風間浦(青森)鶴岡下名川(山形)昭和(福島)など

◆宮城県栗原市と岩手県奥州市で14日朝、最大震度6強を観測した「岩手・宮城内陸地震」は被害が拡大し、死者は岩手、宮城、福島三県で計6人になった。大規模な土砂崩れがあった栗原市では、11人が行方不明となっている。重軽傷は青森を除く東北各県で計150人を超えた。宮城、岩手両県では道路の寸断が多発。山間部で孤立する集落が相次ぎ、約270人が孤立し、100人以上が避難している。

 各県警によると、岩手で死亡したのは、一関市で地震直後、買い物中に店から飛び出しトラックにはねられた同市東山町の千葉友三さん(60)、奥州市の胆沢ダム工事現場で落石に遭った同県滝沢村の千葉正彦さん(48)。
 宮城では栗原市花山の国道398号のり面工事現場で土砂崩れに巻き込まれた山形県鮭川村の門脇義富さん(53)と五十嵐正巳さん(54)。県によると、同市湯浜地区で土砂に埋没した車両から2人を救助、1人の死亡を確認した。

 福島では、海岸で釣りをしていてがけ崩れに巻き込まれたいわき市勿来町の会社員石井道隆さん(55)が死亡した。
 大規模な土砂崩れがあった栗原市では被害が深刻化している。宮城県警などによると、市内では駒の湯温泉の旅館で経営者家族と宿泊客ら計7人が行方不明。栗駒ダム上流の行者滝付近にいた釣り人1人と、同市花山の白糸ノ滝付近で橋から転落した2人の行方も分かっていない。

 同市では14日午後8時半現在、耕英地区など5カ所で計約250人が孤立。100人以上が避難生活を強いられている。
 宮城県警のまとめでは、県内の重軽傷者は111人。名取市閖上の仙台東部道路新名取川橋の上り線では、25人乗りのバスが地震ではね上がり、1人が重傷、22人が軽いけが。

 岩手県では28人が重軽傷を負った。奥州市衣川区の林道で20人が乗ったマイクロバスが土砂崩れに遭い、がけ下に転落して10人が重軽傷。一関市厳美町では国道342号が土砂で寸断され、200人以上が一時孤立した。県や自衛隊が救出したが、14日午後8時現在、一関市厳美町で20人が孤立している。
 仙台管区気象台によると、地震のメカニズムは西北西と東南東に断層が押し合い、一方が滑って乗り上げて起きる「逆断層型」だった。

◎余震220回最大5弱

 仙台管区気象台によると、岩手・宮城内陸地震の震度1以上の余震は15日午前一時現在、220回に達した。最大震度は午前9時20分ごろに発生した震度5弱で、マグニチュード(M)は5.6だった。
 余震活動は活発で、震度4は8回、震度3は24回。余震の震源域は、本震が発生した付近を中心に北東―南西方向約40キロの楕円(だえん)内に分布している。
 管区気象台技術部は「時間の経過とともに数は減少傾向にあるが、今後1週間は余震が継続するとみられる。場所によっては震度6弱を観測する可能性がある」と警戒を呼び掛けている。

<新幹線など終日乱れる>
 岩手・宮城内陸地震の影響で東北の交通機関は14日、岩手、宮城両県の鉄道網を中心に混乱が続いた。立ち往生した東北新幹線の列車3本では乗客が最大9時間半、缶詰め状態になった。東北新幹線の仙台―八戸間と秋田新幹線の全線は終日、山形新幹線も最大7時間運転を見合わせた。

 JR東日本によると、東北新幹線仙台―古川間で緊急停車した「はやて・こまち1号」は午後6時すぎ、仙台駅に戻った。近くで立ち往生した「はやて・こまち4号」の乗客約750人は午後一時20分ごろ、作業用階段から高架橋を下り、バスで新幹線総合車両センター(宮城県利府町)に移動。一ノ関―水沢江刺間で停車した「やまびこ46号」の乗客約300人はバスなどで代替輸送された。
 東北、秋田両新幹線は15日朝から正常ダイヤで運行する見込み。

<2次災害防止900ヵ所点検へ/国交省>
 岩手・宮城内陸地震で国土交通省は14日、余震や降雨による2次災害を防止するため、同省と地元の自治体職員で緊急支援チームを編成し、15日からがけ崩れなどが起きる恐れがある岩手、宮城両県内の約900カ所を点検すると発表した。
 支援チームの活動は1週間程度を予定。震度6弱以上の揺れがあった地域で、がけ崩れや地滑りの発生が予測される場所を点検する。

◎家のむ土砂切り立つ道/被災地上空ルポ

 栗原市の栗駒山ろく。新緑の鮮やかな山が、無残に土肌をむき出しにしていた。森を縫って走る道路の一部は、鋭い刃物でえぐり取られたかのように、切り立ったがけに変じた。

 栗原市耕英地区に向かう。駒の湯温泉は大量の土砂に埋もれていた。建物は大きく傾き、登山客が憩う“山の湯”の面影はない。
 残雪の山並みを越え岩手県側に。一関市街地から須川温泉へと通じる国道342号に沿って飛ぶ。同市厳美町の道路は土砂で埋まり、大きな橋もぽっきりと折れていた。

 奥州市の山間部上空。林道から転落した青いバスの天井部が見えた。険しい山林を切り開き、救助隊が懸命に現場へ進む。救助ヘリが何度も旋回、負傷者を慎重につり上げていた。河北より

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◆「バスは土砂に押し流され、急斜面を横転して滑り落ちた」。岩手県奥州市の石淵ダム近くで土砂崩れに直撃されたバスの乗客が、間一髪で助かった状況を生々しく語った。

 奥州市などの住民らで作る「胆沢ダム水資源のブナ原生林を守る会」の19人と運転手の計20人が乗った貸し切りバスは自然観察会に向かう途中だった。

 同市の税理士蜂谷義昭さん(74)は「山の反対側は急斜面だった。バスが土砂に押しつぶされそうになり、頭を隠そうと、みんな座席で前かがみになった」と恐怖さめやらぬ様子。誰かが「落ち着け」と叫び、女性から車外に脱出したという。

 蜂谷さんら数人が山側の窓からはい出した後、バスは急斜面で一度横転して滑落。斜面の3本の木に引っかかって止まり、閉じ込められた乗客は、助け合って外に出た。

 運転手が近くの宿泊施設に駆け込み119番通報。午後に全員がヘリなどで救助されたが、8人が重軽傷を負った。事務局長の小野寺正英さん(64)は「けが人はタオルや服で止血した。悪寒を訴えた人にカーテンを引きちぎって渡し、意識が遠のきそうになっていた人に『大丈夫だ』と何度も声をかけた」と語った。

 主婦及川妙子さん(72)によると、現場は細い道でガードレールもなかった。「突然、運転手が『あーっ』と叫び、車内に『地震だ』と声が響いた」と振り返った。読売より


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